0.5人月

人生と仕事が伸び悩んでるWeb系のおじさん

知らない街に行って、仕事を見つけて、親しい人達と、自分の居場所を築いたみなさん

キキ、僕は君の二倍以上生きてるけどずっと実家だよ。一度家から1分もない所に住んでたことはあったけどね。

13才で家をでるなんて考えたことなかったな。社会人になったら、という考えはなきにしもあらずだったんだけどね。そもそも修行の身でダブったり、職にありつく時に躓いたりしてたからね。

もし、僕が一人で住むならコンビニが比較的近くて、駅から徒歩10分くらいがいいな。賑やかじゃなくても、不便なのは避けたいな。

僕の実家は、内陸だから、海は決して見えないんだ。海が見えるところで、近場だったら、千葉や神奈川にあるのだろうか。今の仕事場を考えると正気の沙汰じゃないね。

それに、水場にはトンボみたいな連中が集まるんじゃないか。実際、トンボは水中に産卵するだろう。

僕はごめんだね。やっぱり住むなら、「賑やかじゃない、不便じゃない街」だよ。

それにしても、13歳で働き始めるなんて逞しすぎるよ。個人事業主で替えが効かない分、体力勝負なところもあるけど、コミュ力あるし順調にいくんじゃないかな。

自分は、仕事の方は何とかなってるかな、ただ順調かどうかと行ったら少し微妙なところなんだ。専門職ではあるんだけど、基本的に替えがきくからね、太い繋がりを持った顧客がいるわけじゃないし、不安が絶えないよ。

ニシンのパイを嫌いなんて言ってくるようなお客さんを相手したことはないな。いや、言葉通りの意味じゃなくてね。

ところで「街を好きになる」って感覚はどういう風に生まれるんだろうね。僕は29年生きてきて、ずっとわからないんだ。

僕が生まれ、生きてきたこの街はとても素敵な街だよ。飲食店は充実してるし、衣服だってまあ揃えられる、カラオケや満喫だってそこらにあるし、ゲーセンはラインナップが素晴らしいよ。あと、観光地としても有名なんだ。それなりに景観が良いスポットもある。

野暮だね。キキがいう街は、人が大きいのかもしれないね。

実際僕は、この街に、嫌いな人がいるわけじゃないんだけど大好きな人がいるわけでもない。近所に友達がいないし、朝の挨拶すらしない隣人もいる。美味しい店をたくさん知ってるけど、店員とよろしくできるタイプじゃないんだ。

ただ、なんとなく思うんだけど、「街の人を好きになる」ってのは、物語が見せてくれる美しい幻想のようなものだと思う。それこそ飛行船が墜落して、魔女が人を救出して見たりしない限りには、それでも当事者とその2個周辺くらいまでにしか、共有できない幻想だと思う。

キキが「街が好き」って言うのを水をさすつもりはないよ。幻想だとも思わない。きっとトンボと幸せを築くに違いない、 物語もあるからね。