0.5人月

人生と仕事が伸び悩んでるWeb系のおじさん

ジョジョ・ラビットの感想


タイカ・ワイティティ監督がヒトラーに!映画『ジョジョ・ラビット』日本版予告編

あらすじ

第二次世界大戦の真っ只中のドイツで、ナチ信者の少年、主人公ジョジョと、その母親の家庭で、家にユダヤ人の女の子を匿う話。

主人公は身体が弱くて友達が少ない男前の少年。ナチを信仰し脳内に強烈なイマジナリーヒトラーを飼っており、いつも彼に叱咤激励されながら自身が強く兵士であることを望み、戦争でドイツが勝つことを信じてやまない少年。

そんな彼はある日、少年兵の訓練キャンプで手榴弾で事故を起こして顔に大きな傷と足に負傷を負ってしまい、兵士の訓練から離れ、ビラ配りやリハビリに邁進するようになる。

顔に大きな傷を負い、そして、兵士としての道も絶たれて、鬱屈した日々を送る中、母親の留守中に、亡くなった姉の部屋の屋根裏に続く隠し部屋でユダヤ人の自分より一回り年が離れた女性と出会い、紆余曲折ありながら彼女と交流を深めていく。

感想

あのマイティソーバトルロワイヤルの監督の映画。コメディタッチで子供目線の戦争映画です。あくまでコメディタッチであり、ギャグというほどのものではありませんでした。イマジナリーヒトラーは頑張ってるけど、そんなに笑えるものはないと思う。 

すごく中身はまじめな戦争映画ではあるのですが、「戦争反対」と強く政治的社会的らしくメッセージを出すようなうっとうしさは全くないです。とてもストレートで熱いアンチ戦争のメッセージを受け取れると思う。

母親は、女優がスカーレットヨハンソンであることも手伝って、生き生きしていて魅力的。思想の違うお母さんと息子のやりとり、お母さんが大人として息子に伝えたいことと息子がお母さんに伝えたいこと、そのギャップがじんとくる。この映画の良いシーンだった、と思う場面に真っ先に母親とのシーンを思いうかべます。

圧巻なのは終盤、まとめて伏線を回収するかのような戦争のシーン。ここは笑うのか泣くのか。ともかく悲惨だったり、かっこ良かったり、手に汗握る火薬の応酬。戦争の狂気と、間際にみせる登場人物たちの狂気、時にはかっこよすぎる生き様。

このあたり、マイティソーバトルロワイヤルの監督だというのを強く感じました。

変わらず音楽のチョイスだってやっぱ最高だ。OP、ED、挿入歌、ビートルズにデビットボウイ。OPは映像ともに大好きだ。

登場人物だけ取り出しても、母(スカーレットヨハンソン)、主人公の唯一のリアルフレンドのヨーキー、サムロックウェル演じる軍人、などなどとても良い感じです。

最後はとってもさわやかで良いです。総括としてとてもおすすめです。

悪口

悪いところといえば、どこか古風で真面目という印象が強いです。主人公とユダヤの女性とのやりとりがメインの時には、ふざけてばっかりのこの監督にしてはすごく普通で退屈に感じる時間もありました。手紙のやりとりなどはすてきだと思いましたが。

あとは、イマジナリーヒトラーの説得力があまりなかった。どうして彼がイマジナリーヒトラーというものを生み出したのかというものをもうちょっと掘り下げてほしかった。過去の戦時下ではかつて子供ですらそうであったという話でも納得はできるし、孤独やさみしさがナショナリズムに結び付くというのはよくわかりますが、ヒトラーに陶酔するようになった彼の心をもう少し知りたかった。ここでもっと感情移入できればイマジナリーヒトラーを○○○○シーンでもカタルシスを得られたのに。

映画で広がる興味

熱いメッセージはリルケの詩集から、かっこよくてポップなOPはビートルズのI Want To Hold Your Hand、EDはデビットボウイ。文化に惚れるのはもちろん、子供すら熱狂したナチについて知りたいと思ったりして、こういうのも映画の良いところですね。